ニート息子に司法書士めざせへんか。

大卒後のある日のニートのとき、母親に言われたことがあった。

でも僕は、はじめは全部拒否してきていた。

合格率が低すぎるからだ。

でも、警備の仕事もきつく、年金保険料をひいたりした手取りの

月収は10万ぐらいのものだった。

同僚は家族があり、カネをかしてくれと同僚に言っていた。

返済期限がきてるが、カネを早く返してくれと言っていた。

給料が低いのに家族を食わさなくてはない現実がのしかかっていた。

別の会社では、契約が延長にならなければ全員解雇だということは

わかっていた。雇用が永遠に続く保証もない以上、自分の道を模索する

しか残されているように思えなかった。


株をやりはじめて2年目、リーマンショックだった。

これまでのようにもっていれば、たまにあがるから逃げ切れるような状況ではなかった。

逃げ切れる時期にたまたま出くわしたことがあって、なんとか数十万で

損切りできて、助かった。持っていた株で潰れて紙クズになったものも
いっぱいあった。


それ以来株などするものかと証券口座にカネを眠らせた。

しかし司法書士試験勉強の中でもカネは減っていく。
だから、今度は潰れないと思われる日本で優良だとされる株
を買っていった。

配当金も毎年もらった。働いているときとは違って保険料の負担もない。
誰かも搾取されない、自由な生活がはじまったのだ。

配当金は年間十二万あり、優待券でプチ贅沢が可能だった。


はたらかなくてもこんなに幸せ。


そう毎日本気で思っていた。そして暇つぶし的にかつて母親から

言われた目標だった司法書士試験の勉強を少しづつだけどやってきている。


3年目、4年目、母親はもういいよ。あきらめて働きなといった。


でも、もうこんなお気楽な生活を味わったら、到底働く気などあるはずがなかった。

結婚も、あきらめ、就職もあきらめ、全て諦めて今がある。


でも、気分はそんなに悪くない。


もう母親は期待はしてないが、

僕は暇で暇でしかたないし、一生結婚もしないので、カネもかからない。


先がみえきっているため司法書士試験の勉強をやめるわけにはいかなかった。
親がなんといおうとも。

だって、もう働く気がないのだから。


無職にとって暇ほどつらいものはないのだから。